看護学校の変化

もしあなたがまだ若く、これから看護師として看護技術を身につけるのであれば当然、看護の勉強ができる専門学校や大学へ行く必要があります。看護師になった人の理由を聞くと「看護師にあこがれた」「人を助ける仕事がしたかった」などという理由がよく出てきますが、家族に病気の方がいて看護に興味を持ったという理由もよく聞かれます。

一般的には高校を卒業して看護の専門学校か看護短期大学、または看護大学で勉強した後、国家試験を受けて看護師となります。また、その後大学院へ進み保健師や助産師の課程を取ることも可能です。

看護教育の環境を考えると、最近では看護教育の流れが従来の専門学校から大学へという流れになってきています。以前はバブル経済の影響もあって看護の専門学校が多かったのですが、今は子供の数も減ってきているためどの学校も生徒募集に苦労している状態です。特に、地方にある病院付属の学校ではその病院の医師や看護師が授業にあたります。特に地方の病院では医師も看護師も人手不足の現状にあり、講師のやりくりがままならないために学校そのものが閉鎖されることも起きています。一方で都会に多い看護大学では看護教育のプロが授業を担当し、内容のレベルも高いので今では多くの学生が看護大学へ進学する傾向になっています。

それでも地方の一部では逆に看護の専門学校を新設して学生や研修生を呼ぼうという動きもあるようです。しかし現状では地方に看護学校を作ってもほとんど人が来ません。地方としては都会にはない自然環境のよさなども売り物にしたいようですが、ただ自然豊かで星がきれい、山が見えると言ってもやはり都会の便利な生活にあこがれる若者には敬遠されるようで思っているほど生徒が来たがらない様子です。

また一方で、看護大学は教える内容が実技よりも看護理論などの学問的分野が多いため、卒業した生徒が即戦力にならないという声も聞かれます。今後の看護教育を考える上で看護大学にも教育内容の改善が期待されています。

【看護教育施設の推移】

<看護大学>
12年度 84
16年度 98
18年度 146
20年度 168
22年度 193

<専門学校など大学、短大以外>
12年度 513
16年度 503
18年度 510
20年度 502
22年度 510

【入学者数の推移】

<看護大学>
12年度 6331
16年度 7595
18年度 11906
20年度 14183
22年度 17085

<専門学校など大学、短大以外>
12年度 23132
16年度 32303
18年度 22989
20年度 23186
22年度 25794

(出典:厚生労働省「看護師等学校養成所入学状況調査」に基づく)

この表を見る通り、専門学校の数や入学者数の推移はだいたい横ばいですが看護大学の数と入学者数は段々と増えていることが分かります。現在は看護教育の主流は専門学校ですが、今後は看護大学を中心とした看護教育が進んでいくように思われます。ちなみに短期大学の施設数、入学者数は共に減少傾向にあります。